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2010.11.30コラム
水の酸性とアルカリ性の度合を示す指標で、単位はありません。中性の水はpH7で、7より小さいものは酸性、7より大きいものはアルカリ性です。ただし、厳密には水温によって変化するので、pHの測定値には測定時の水温も付記すべきです。
通常の淡水のpHは7前後ですが、表流水はどちらかというとアルカリ側が多く、地下水は土壌中の生物作用によって生じた二酸化炭素のために酸性側のものが多くみられます。
pHは水中の化学的作用や生物作用に大きな影響を与えます。強い酸性やアルカリ性の水の中では普通の微生物は活動できません。アルカリ側では金属の水酸化物が生成して透明度が下がったり底泥の堆積量が増えたりしやすく、酸性側では底質中の重金属頬が溶出しやすくなります。
湖沼水は、特に夏季の成層期には、表層は植物プランクトンの光合成によって二酸化炭素が消費されるためにアルカリ側に傾き、底層はプランクトンの遺骸の分解に伴って二酸化炭素や有機酸が生成するため酸性側に傾きます。河川でも、水深が浅く(日光が河床まで届く)、水が停滞するような場所では河床の付着藻類の光合成のためにpHが高くなる(同時にDOも高くなる)ことがあります。
それぞれの用途に望ましいpH値の範囲は、下表のとおりです。
pH5以下を示す水は異常と考えるべきですが、湿原地帯の水や、温泉地帯または硫化物を鉱石とする鉱山地帯の水にはそのような酸性水がみられます。前者は植物の遺骸の不完全な分解によって生ずる有機腐植酸によるものでpH3.5程度までですが、後者は硫酸や塩酸などの無機強酸によるものでpH3以下になることもあります。
「水質調査の基礎知識」平成12年2月
国土交通省 近畿地方整備局 近畿技術事務所より