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分析方法紹介/BOD試験

2010.11.30コラム

分析方法紹介/BOD試験

JISでは、生物化学的酸素消費量と表記しています。
BODはBiochemical Oxygen Demandの頭文字で生物化学的酸素要求量と訳され、水の有機物汚染指標の一つであり、水質試験における生活環境項目の一つです。
BODとは、水中の分解可能有機物が好気性微生物の栄養となるため、好気的条件下(酸素が十分な状態)で、5日間に消費する溶存酸素量のことで、この数値は水中の生物分解性有機物の量に対応します。
いいかえると、生物が水中にある有機物を分解するのに必要とする酸素の量をmg/Lで表現したもので、河川の汚染度が進むほど、この値は高くなります。
水中で酸素を消費する物質は主に有機物ですから、有機汚濁の指標として古くから用いられていますが、微生物によって分解されにくい有機物や、毒物による汚染を伴う場合は、測定できません。
アンモニアや亜硝酸などは無機物ですが、微生物によって酸化されるので、測定値に含まれてくる場合があります。

ポイント1 5日間培養する

検水は、適当に希釈され、5日間培養を行い、溶存酸素量を測定します。
BODは、もともと、排水を河川に放流したときに河川の中で、どのぐらいの酸素が消費されるかを知るためにイギリスで考案された指標です。
5日間は、イギリスの河川の最大流達時間、即ち水源から海に達するまでの時間に相当します。

ポイント2 検水を希釈、分取する

▲資料の曝気

BOD試験の試料は、「採水→曝気→BOD推定→検水分取」という手順により、分取します。
検水は、酸素消費量を適切に測定できるように、水中の有機物量を調整するために希釈します。検水中の有機物が多量で、検水中の酸素をすべて消費してしまうと試験測定は不可能になります。
適正な試験を行えるように試料を希釈し測定します。


●採水は原則として採水器を用い、作業します
BODは水中の微生物の働きによって変化する成分ですから採水後は、氷などを用いて冷し、生物の働きを抑えて搬入します。

●試料にゴミなどが入った場合はやり直します
試料の中にゴミなどが入ると腐敗分解し分析結果に影響がでるため、採水をやりなおします。

●採水した試料を曝気します
溶存酸素量の減少量を測定する試験ですから、はじめに20℃で15分間の曝気を行い、試料中の溶存酸素量を飽和量にしてから、はじめます。

●BODの推定を行い、検水を分取します
試料の希釈は、①、②の値を参考にして決める。
①過去の分析値
②COD値
③ 3~5段階の希釈を行います
BODが確実に予想できる場合以外は、分取量を変えて3~5段階の希釈を行い、試験当日のD01と恒温器に5日間放置した後のD05について、DO1-D05の値が、D01の40~70%の範囲にあるものを採用します。

ポイント3 希釈水

●希釈水を調整します
希釈水は、4種の試薬溶液を作成し曝気した蒸留水に添加し、調整します。
4種の試薬溶液は、緩衝液(pH7.2)、硫酸マグネシウム溶液、塩化カルシウム溶液、塩化鉄(Ⅲ)溶液です。

●希釈試料の調整をします
希釈試料の調整操作については、試料の適量を希釈ビンに分取し、希釈水を加えた後、静に転倒撹拌します。

BODの測定値について

BODが高いということは、溶存酸素が欠乏しやすいことを意味し、BOD10mg/L以上では、河川中の酸素が消費され、悪臭の発生など嫌気性分解に伴う障害が現れ始めます。
上水用水源としては、BOD3mg/Lを越えると一般の浄水処理方法では処理が困難になるとされています。

▲BOD値の目安

「水質調査の基礎知識」平成12年2月
国土交通省 近畿地方整備局 近畿技術事務所より

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